エージェントベース

エージェントベースモデルとは?

エージェントベースのモデリングは、システムの個々のアクティブなコンポーネントに焦点を合わせる、より抽象的な表現であるシステムダイナミクスやプロセスに焦点を当てた離散イベントメソッドとは対照的な方法論です。

エージェントベースのシミュレーションでは、エージェントと呼ばれるアクティブなエンティティを設定し、その動作を定義する必要があります。 それらは、人、家庭、車両または機器、製品や企業などが考えられます。システム内で、それらの間の接続が確立し、環境変数を設定することでシミュレーションを実行することが出来ます。システムのグローバルなダイナミクスは、設定された複数のエージェントの行動の相互作用で表現されます。

AnyLogicは、妥協のない結果を得るために、プロフェッショナルなエージェントベース、ディスクリートイベント及びシステムダイナミクスの各方法論を全て含んでおり、それぞれの方法論を組み合わせてモデル化することが出来ます。

エージェントベースモデリングは現実世界をモデル化する新しいモデリング手法です

従来のモデル化アプローチ(ディスクリートイベントやシステムダイナミクス)では、従業員、顧客、製品、設備および機器等は数量として定義され、受動エンティティ又はプロセスのリソースとして扱われます。

システムダイナミクスモデルでは、多くの仮定が必要です。例えば、「R&Dに120人の従業員がおり、新製品を年間約20製品設計できます」、または「出荷能力が1200台/月分のトラックを保有しており、年5% のトラックを置き換える必要がある」等の抽象度の高い設定をします。

一方、ディスクリートイベントモデルは、コールセンターを例にとると、「顧客がコールセンターに電話をかけ、Aのオペレーターによって処理されます。処理時間は平均2分、その後20% 通話をエスカレーションする必要がある…」などプロセス重視のモデルとなります。

Agent Based Simulation Modeling

これらの二つのアプローチは、スプレッドシートベースのモデリングよりも強力で、それらは組織のダイナミクスと非線形性を捉えることができますが、個々のエンティティの独特な構成と複雑な関係は無視しています。 たとえば、顧客が購入決定をする前に家族に相談するとか、定期点検スケジュールを加味した、個々の航空機の可用性等のパラメータを、これら二つのアプローチでは考慮することが出来ません。

エージェントベースのアプローチでは、個々のオブジェクト、その動作、およびそれらの相互作用に直接焦点を当てるため、これらの制限はありません。したがって、エージェントベースのモデルは、実際には現実世界の関係を反映する、相互作用するオブジェクトのセットと考えられます。 その結果、エージェントベースのモデリングは、今日のビジネスや社会システムの複雑さを理解し管理するための自然な方法となり得ます。

エージェントベースモデリングでビックデータを有効利用する

今日の企業や政府機関は、CRM、ERP、HRなどのデータベースに大量のデータを蓄積しています。 エージェントベースのモデリングは、それらのデータを有効活用する強力な方法論です。 個人を特徴とするエージェントベースモデルは、消費者の習慣、機器の故障、ビジネスプロセスのタイミング、健康関連のデータ等のパーソナライズされた特性や行動を、これらのデータベースから直接読み取ることができ、その情報を基にシナリオのモデル化、予測、比較、及び可視化等の最新の方法を提供することで、戦略の最適化を実現します。

エージェントベースモデルとマルチメソッドモデル

AnyLogicは、エージェントベースのモデルを構築するためのソフトウェアです。 さらに、エージェントベースのモデルは、妥協のないモデリングのために、ディスクリートイベントモデルやシステムダイナミクスモデルと組み合わせてシミュレーションを実行することができます。 例えば、エージェントとしてサプライチェーン上でモデル化されている倉庫の内部ロジックをディスクリートイベントでモデル化したり、システムダイナミクスロジックによってモデル化された市場モデルの顧客行動をトリガーにしたモデルを作成することが出来ます。

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