スマートフォンアプリケーションによる「バスの団子運転」の防止

スマートフォンアプリケーションによる「バスの団子運転」の防止

概要

公共交通機関のバスの団子運転(bus bunching)とは、通常、同じルート上で等間隔に同時走行するバスが、渋滞などの影響で、間隔狭まり、同じルートを団子状態で走行する2つ以上の輸送車両(バスや電車など)のことを指します。Watertown (MA)のDave Sprogis、ボランティアのソフトウェア開発者兼データ・アナリストは、彼の論文で"バスの団子運転”の防止にAnyLogicシミュレーションを使用し、バス乗降客の体験を改善することができればと考えました。具体的には、バス停での長い待ち時間を無くし、個々のバスが団子運転になる前に、個々のバスのわずかな遅延を防ぐことで、バスの混雑を緩和すると考えました。

問題

マサチューセッツ州ウォータータウンの住民は、バス路線のサービスが悪いと長い間不満を持っていました。ウォータータウンにサービスを提供するマサチューセッツ湾交通局(MBTA)がリアルタイムバスデータを収集できるAPIを公開していることを知ったDaveは、データを分析しました。分析の結果は明らかで、ラッシュアワーでバスが一箇所に集まると、バスルートのサービス効率が大幅に低下しました。

結果は納得のいくものでしたが、解決策はつかめないままでした。例えば、満員のバスは、停留所で待っている人を乗せず、後続バスが乗車できるようにする必要があるのか?動的に変化する道路状況と乗客の要求を反映するために、バスのスケジュールを更新する必要があるのか?あるいは、バスの団子運転を防ぐために、単にバスを遅くすることはできるのか?

ソリューション

バス輸送シミュレーション

バス輸送シミュレーション

Daveは、バスを減速するが最適と予測をしましたが、それを証明する手段が必要でした。そこで、彼はそれを証明するためにシミュレーションを使用しました。バスの減速の影響のトレードオフは何か?待ち時間を短縮すると乗車時間はどの程度変化するのか?さらに、乗車時間が長くなると、乗客の負荷も増加するのか?これらの質問に答えられるのは、様々な変数を調整して結果を測定できるシミュレーションが最適です。

Daveは、AnyLogicのGIS機能を使用して既存のルートをモデル化しました。このモデルにより、現在の状況と提案されたソリューションをシミュレートし、両方のシナリオでデータの収集をし、結果を比較しました。Daveは、次のコンポーネントを使用してモデルを開発しました。

モデルには、実行前および実行中に調整できるパラメーター(つまり、乗客数、乗車時間、乗降時間、最大バス速度、および2通りのポリシィ)も含まれます。

結果

モデルは、Daveが提案した解決策を可視化することを可能にします。最良の結果はバス間隔を常に一定にすることで解決できると考えました。それにはバスの間の距離を一定に維持する方法を考案する必要があります。この均衡ポリシーを使用すると、バスはルートを自由な速度で移動できなくなります。バスは継続的に速度調整を行い、自身より前を走るバスとの間を常に一定にするために減速または停止を繰り返します。

均衡ポリシーを使用すると、各バスの乗客数がより均一になり、待ち時間がより予測可能になり、過度に長い待ち行列がなくなり、バスの混雑が緩和されます。

Daveは、MBTAが「uber-fication」を採用することを推奨しました。これは、「均衡」ポリシーに適用する「connected」アプリを使用して、バスが待機するタイミングをドライバーに知らせます。

洞察から行動への移行は情報の不足により、しばしば不明瞭になることがあります。また実システムの実験にはコストや時間がかかり、さらにリスクが伴います。 シミュレーションは、投資が行われる前に方向性を確認し、意思決定に自信を持つための大きな中間ステップです。 意思決定者はAnyLogicモデルを使用することで、問題と提案された解決策を視覚的に理解することができ、最終的に乗客へのサービス向上に役立ちます。

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