問題
Sterling Simulation コンサルティング社は、サプライチェーンモデル作成を製薬会社から依頼されました。製品を新規の市場に導入するための、サプライチェーン再構築と需要の不確実性への対応及び視覚化を考慮しました。企業の目標は、在庫レベルを維持し、在庫切れによる取寄せや販売機会の損失を回避しながら、リードタイムを短縮することでした。 クライアントは、リスク軽減分析のための柔軟な「what if」ツールを期待しました。
解決策
クライアントは過去にAnyLogicでディスクリートイベントサプライチェーンモデルを構築していました。しかし、新しい条件に簡単に調整できないため、柔軟性に欠けていました。モデル開発エンジニアは、エージェントベースのサプライチェーンコンポーネントとディスクリートイベントプロセスを組み合わせたハイブリッドモデルを構築するソリューションを提供しました。新モデルは、サプライチェーン自体と各コンポーネント内のプロセスの両方を実行時に構築可能なため、構成と使用がモデル実行時に簡単にできました。
モデルの中核には、以下を表すエージェントが含まれます:
- 1つ以上のプロセスと共有リソースを含む生産施設
- 生産および出荷ロジックを組み込んだ生産ライン
- 生産プロセス
- 事前に割り当てられたサイズのバッチの種類
- 製品バッチの出荷リクエスト
モデルはMRPスケジューリングを使用して生産ニーズを決定しました。このモデルでは、安全在庫が過剰又は不足を生じることがあるため、需要の変動の影響を受けました。これらの結果を使用して、開発者は需要を満たし、財務的および運用上のリスクを減らすためのクライアントの主要な改善点を理解しました。
生産するかどうかを決定するため、モデルは現在の需要と理想の安全在庫の合計を計算しました。需要が現在の在庫より少ない場合は生産を停止し、そうでない場合は在庫をチャージし、生産を開始しました。
モデルを検証するために、クライアントは新しい市場が考慮されていないため、既存のサプライチェーンモデルを使用できませんでした。モデルの構成を変更することで、モデルのロジックが適切に機能することを示しました。
成果
このモデルは、リードタイム短縮が医薬品サプライチェーンの在庫を削減する方法を示しました。モデル内で生産施設や生産ライン等とサプライチェーンの入出荷フロー等の機能を組み合わせることで、より現実に則したモデルを作成できます。これは、エージェントベースアプローチとディスクリートイベントアプローチを組み合わせたモデルの作成が可能なAnyLogicのマルチメソッドモデリングが主な機能です。
より多くのダイナミクスをサプライチェーンモデルに組み込み、詳細な実験を行うには、AnyLogicで開発されたサプライチェーン設計および分析専用アプリケーションであるanyLogistix使用できます。これを使用することで、巨大サプライチェーンの構築に際して、企業の経営幹部により多くの洞察をもたらすことができます。
Sterling Simulation社 副社長であるScott Hebert氏によるプロジェクトプレゼンテーション