問題
2018年FIFAワールドカップはロシアで開催され、イベントに備えて鉄道ネットワークは交通量の増加に対応する準備を迫られていました。
ロシアの鉄道事業者は、モスクワ、サンクトペテルブルク、カザン、ソチ、サランスク、サマラ、ロストフ・オン・ドン、フォルゴグラード、カリニニンラッド、ニジニー・ノヴゴロド、およびニジニー・ノヴゴロドの11のホスト都市の31の鉄道駅の、様々な事象の準備評価を実施しました。
このプロジェクトは、輸送システム開発を専門とするIRTSと契約を結び、次の4つのタスクで構成されていました
- 通常の状況と試合日の状況での駅の収容能力を分析
- 乗客数が増加している駅のボトルネックを特定
- 試合日の駅の乗客サービスの最適化に推奨事項を作成
- 駅構内の避難経路の最適化
ソリューション
これらの問題を解決するために、IRTSはAnyLogicシミュレーションモデリングを使用して、駅をモデル化するためのカスタムStation Modeling Libraryを開発しました。このライブラリは、プラットフォーム、待合室、およびサービスなどの既成のオブジェクトを提供でき、モデルを作成する時間を大幅に短縮します。
IRTSは各開催都市の駅のモデルを作成し、最初の例では郊外電車と長距離電車の通常の運用をシミュレートしました。これに加えて、ステーションモデルは現在の駅の運用と顧客行動特性を反映するために個別に調整されました。
モデリングの次の段階は、試合日に使用する列車のスケジュールと予想される乗客数を読み込む必要がありました。このデータが読み込まれたことで、駅のボトルネックが特定され、テストを通じて、特別なイベント中に施設を最適に運用できる一連の対策が開発されました。
最後に、詳細なモデルと運用計画をもとに、IRTSは駅舎の避難計画を分析しました。歩行者モデリングでは、荷物を持っている人、持っていない人、カフェにいる人、待合室にいる人、プラットフォームにいる人、変化する混雑など、様々な行動特性が考慮されています。駅の最大負荷を避難シナリオの基準レベルとし、施設の避難時間を分析しました。
AnyLogicは、シミュレーションモデルをスタンドアロンアプリとしてエクスポート可能なため、インタラクティブなユーザーインターフェイスを備えているアプリとしてお客様提供することができ、お客様はAnyLogicが無い環境でモデル実験を行うことができます。
成果
IRTSは、効率的で柔軟性のある優れたソリューションを提供しました。FIFAワールドカップ2018開催中に使用されている駅の運行計画は、多数の可変パラメータ:時刻表の調整、列車の種類の変更、車両数、乗客の流れなどを持つシステムを作成することで完成しました。緊急事態計画は、FIFAワールドカップが閉幕した後も特別なイベント等で使用することが可能なシステムです。
引き続き、ステーションモデルは鉄道事業者によって開発が継続されます。AnyLogicモデルでは、シミュレーションウィンドウで各種パラメータの編集および設定を行うことができ、より簡単で幅広い用途に使用できます。開発地の商業的可能性、モデル化された周辺地域への各種変更の影響、駅の乗降客の安全性等を分析することができ、これらすべてが鉄道ネットワークの継続的で効率的な運営を確実にするのに大変役立ちます。