問題
世界最大の資源企業の一つは、売上高800億ドルを超え、新しい市場に参入することを決めました。新たなカリウム鉱山を建設し、生産の90%を輸出することを計画しました。災害や人災においても、早い製品の納入及び敏速なリカバリーが可能な、信頼性の高いサプライチェーンの構築を目標としました。これに伴いAmalgama社とGoldratt社は、輸出ロジスティクス及びカリウム採鉱オペレーションのためのサプライチェーンを設計の契約を交わしました。
プロジェクトを開始する前に、他の会社が作成した既存のシミュレーションシステムでボトルネックを理解することは重要でした。この古いシステムにはいくつかの利点はありますが、モデルはブラックボックスのように作用し、理由付けのない結果を生みました。新しいプロジェクトは、シミュレーション・モデリングで、サプライ・チェーン・プロセスを視覚化し、支援して確信を結果にもたらすことでした:
- 高サービスレベル、低コスト、低い投資額でサプライチェーンを設計
- 最適な在庫管理ポリシー(プッシュ、ハイブリッド、プル)を選択
- 鉱山、港、およびハブでのストレージキャパシティを見つける
- 必要な鉄道車両数の決定
誤った判断は、20年間で数億ドルの利益損失になる可能性があります。
ソリューション
モデルは以下の要件を満たします
- 構成可能なパフォーマンスパラメータを使用して、ノードとリンクを簡単に調整できます。
- ランダム性、需要と供給の変動性、混乱性を含める
- 動的アニメーションを使用して相互依存性とパフォーマンスの変動をキャプチャする
- 財務および使用可能なパフォーマンスメトリクスを提示
- 単一実行実験、シナリオ比較、および感度分析を実行
AnyLogicのシミュレーションソフトウェアはこれらの要件を全て満たしています。エンジニアが必要に応じてフレキシブルに構成可能なサプライチェーンのモデルを作成することができます。AnyLogicのモデリングは、ロケーション(港、ハブなど)内のプロセスを明確に表現し、さまざまな要素がどのように機能し、又相互作用するかを表現してくれます。
鉱山ロジスティクスプロセスは工場と鉱山の保管施設で始まります。採掘物を運搬する前に、輸出するか、国内市場向けに保管するかを決定します。採掘物は列車でハブか港に運ばれ、海外に出荷されるか、現地の流通のために輸送されます。
エージェントベースモデルでは、港湾、鉱山、トラック、列車、船などが独立したエージェントとして機能し、相互作用を表現します。このモデルには、さまざまなランダム性も含まれ、たとえば、衝突アクション、天候による遅延、生産の中断、顧客需要の変動などがあります。モデルのグラフには、サプライチェーンとそのコンポーネントの出力統計が表示されます。
モデルを使用して、サプライチェーンに最適なポリシー(Push, Hybrid, Pull)を定義するために感度分析が実行されました。分析では、列車車両をシステムに追加し(25万台から55万台まで)、鉱山と港の保管キャパシティを変更し(15万から50万トンまで)、サービスレベルを変更することを検討しました。ワールドクラスのサービスレベルは緑色の98%、およびそれ以下のサービスレベルは赤と黄色に設定されています。
グラフは、Pushシナリオでは良い結果が得られないことを示しています。ハイブリッドシナリオは必要なレベルのパフォーマンスを提供します。ただし、300キロトンあるキャパシティの3,500台の鉄道車両または250キロトンキャパシティの4,500台の鉄道車両を使用するPullポリシーでより適切に提供されます。システムは、保管キャパシティに非常に反応することが分かりました。
最適なポリシィを定義した後、サービスレベルへの影響を確認するために、複雑さと一時性の要因をモデルに追加しました。Pushポリシーは、新製品、顧客、ハブ、または港の追加で悪影響を受けましたが、Pullポリシィでは、いかなる要因でも、高いサービスレベルが維持されました。
次に、各ポリシィをテストして、変動が増加したときに1トンあたりのコストがどのように変化するかを確認しました。Pushポリシィは、ほとんどの場合1トン当たりのコストが最も高くなりましたが、グラフは、一時性と複雑さが増すにつれて、Pullポリシィでは1トンあたりのコストも時間も、ともに増加することを示しています。
最後に、さまざまなパラメータ(サービスレベル、運転資金、ハブと港の在庫等)を使用して結果を比較し、ポリシィをランク付けしました。
結果
AnyLogicはサプライチェーンプロセスを視覚的に表し、Pullポリシィが最適であることを証明しました。このポリシィは、低い運転資金と投資要件で、より高いサービスレベルを提供しました。また、追加される保管キャパシティがどう役立つかを表現しました。Pullポリシィのその他の主な利点は次のとおり:
- ワールドクラスのサービスレベルを維持
- 市場の需要と製品構成の変化に対して、より柔軟性があります。
- 在庫量を最小にするため、自動的に在庫の優先順位付を決定
- 列車の待ち行列を未然に防ぎ、港の在庫レベルを低く維持します。
以前実施したPushポリシィは、需要の変動を考慮しなかったので、不十分なサービスレベルでした。同社はマルチプロダクトサプライチェーンを使用していましたが、顧客需要が高まり始めたときには、保管場所の不足により、欠品の可能性がありました。Pullポリシーアルゴリズムは異なる動作をし、需要に応じて、ペナルティを課すことなく、いつ在庫を安全に減らすか、増やすかを決定します。
モデルの機能は次の通り
- 感度分析-サプライチェーンのパフォーマンスメトリクスが、鉄道車両数、および港の保管キャパシティでどの程度で反応するかを示します。
- シナリオの比較-さまざまな在庫管理ポリシー、および財務上および経営上の結果をテストします。
後者は様々なモデルパラメータについて詳細な結果を提供しました。たとえば、PushとPullポリシィの1トンあたりのデルタコストの差は3ドルでした。年間1300万トンで、間違った方針を選択した場合、これは3,900万ドルの純利益損失を意味します。Tons/Soldパラメータでは、同じキャパシティと変動率を使用した場合、PushとPullポリシー結果に410万トンの差がありました。トン当たり300ドルを掛けると、これは間違った方針の選択による12億ドルの収益の損失になります。
分析結果がエグゼクティブレベルに提示されたとき、Pullポリシィが事業開発のために選択されました。
Alan Barnard博士とAndrey Malykhanov博士によるプロジェクト発表